Japanese -> Car -> リポート -> オーバーヒート顛末記 -2004.6.3 Updated-

オーバーヒート顛末記

1.事の始まり

 それはある日の帰宅途中のこと。ふと水温計の上昇がいつもより速いことに気付いた。なのに暖気は来ない。

「いつもなら定位置まで来てないはずなのに??」

走りながら水温計を再びチェック。

「あれー?定位置より若干上のような...」

その後少しずつ針は上がっていく。

「やべー、こりゃオーバーヒートだ!」

 以前よりクーラントがウォーターポンプ付近から漏れていたので、ある程度心の準備はできていた。取りあえず路肩に車を寄せ、クーラントの量の確認を。ウェスでラジエターキャップを掴み回すと、おっとクーラントが溢れる!慌ててキャップを締め直し、原因をあれこれ考えた。

「クーラントが入っているとすると...サーモスタットかウォータポンプだな〜」

 星野モーターに電話を入れ、指示を仰ぐ。自走で持ち込みが可能ならベストだが、不可能ならサーモスタットを取り外して直結すればどうかと。でも服は汚したくないし(笑)、クーラントを公道にばらまくのも気が引ける。なんとか家に帰るべく、水温計の針が下降するのをひたすら待った。

注:馬鹿の一つ覚えで、オーバーヒートしたらエンジンが焼き付くのを防ぐためにエンジンは止めてはいけない、と私は思っていたのだが、実際は極限まで温度が上昇していなければすみやかにエンジンを切って冷却するのが正しいそうだ。

 水温計が落ち着いたのでそろそろと走り出してみると、アクセルに応じて水温計が上下する(泣)。走っては止まりを繰り返し、なんとか最寄りのディーラーに辿り着いた。まずはクーラントを補充してもらったが、エンジンをかけるとクーラントを吐き出してしまう。その様は、あたかも高熱を発している子供が水分を欲するが飲ませるとゲボしてしまうのに近似していて、とても悲しい気分になってしまった。メカニックの方はウォータポンプを疑っていた。この状態では家までの自走は厳しい。うーん...

 再び星野モーターへ電話し善後策を練る。家まで行ければサーモスタットを外してチェックできることから、まずは牽引を検討。たまたまその時に星野モーターに居合わせたLBFの夢の助さん(修理の完了した黒鯨を引き取りに行っていた)から、現在地近くに居を構えていたTANAさんの電話番号を教えてもらい、電話するも不在で留守電。夢の助さんの黒鯨で牽引というお話もいただいたがそこまで御迷惑はかけられないのでお断りし、最終的にはこのままディーラーに車を置かせていただき後日星野君にローダーで運んでもらうことにした。そして帰るコールをしてから、バスと電車を乗り継ぎトボトボと帰宅。家に帰るなり妻の一言。

「やっぱりLBFって変!」
「えっ?!」
「連絡網でも回ってるの?パパが帰ってくるまでにTANAさんと夢の助さんから心配して電話あったわよ!」

誤解を避けるために、これこれの理由でこの二人は事情を知っているんだと説明し、納得してもらった(笑)。

 私が帰宅するまでの間に、留守電を聞いたTANAさんは、私が立ち往生していると考え、ディーラーの顔見知りに牽引を依頼してくれたそうだ。また夢の助さんはわざわざ寄り道をして様子を見に来てくれたそうだ。後から聞いて胸が熱くなった!

この素晴しい友人達に私は心から感謝したい!!

 翌日AM数冊を片手に冷静に考えてみた。もしウォーターポンプの故障であればかなり大きな異音がするのではないか?暖気が送られていなかったことから考えてもやはりサーモスタットが怪しいのでは?そう考えると居ても立ってもいられない。車を預かっていただくだけでは申し訳ないのでディーラーにサーモスタットの交換を依頼した。翌日結果を聞くとクーラントの漏れは酷いがオーバーヒートはしなくなったとのこと。

「やったぁ!自走できる」

 これで最悪の状態からは脱出できたが、クーラントの漏れを気にしながら走ることにもそろそろ疲れたので、改めて整備メニューを検討する。

2.整備メニュー

 その場しのぎでなく、長く乗ることを前提に考えてみた。

  • まずはウォータポンプの交換。実際にダメージが大きいのはガスケットだが、ウォータポンプ自体も高熱に曝されているためハウジングが変型している可能性が大きいので一緒に交換。

  • ウォータポンプを交換するのであれば、同時にタイミングベルトも交換してしまえば長い目で見ると工賃が大幅に節約できる(ウォータポンプはタイミングベルトを外さないと外れない構造)、ということでタイミングベルトを交換。やる以上は当然アイドラやテンショナも一緒に。

  • さらに工賃の節約を理由にカムシール・クランクシールも交換

  • どうせ数日預けるのであれば、以前から気になっていたATオイルパンの滲みの抜本的な対策としてガスケット交換、そしてオイルストレーナ交換も一緒に。

  • 交換時期を過ぎていたブレーキフルードを、前々から使ってみたかったWAKO'SのBF4規格のフルードに交換

3.交換した部品

 普段はあまり目にすることのない部品が多い。




Thermostat サーモスタットとガスケット。交換後、鍋で煮たらなぜか開いてしまった (^^;;
Water Pump ウォータポンプとガスケット。このガスケットの隙間からLLCが漏れていた。ウォータポンプは見た目はきれいだが、ベアリングが重く、異音もしていたので交換して正解!
Radiator Hoses ラジエータ関連のホース。転ばぬ......ということで交換した。割れてはいないが劣化は進んでいる。









Timing Belt タイミングベルト。御覧の通り、全く損傷はなかった。まだまだいけそうで、ちょっともったいない感じはしたが、安心のためにしかるべき時期に(通常は10万kmごと)換えるのが正解だろう。
Idler Tensioner アイドラ、テンショナ及びオイルシール。これといった損傷は見当たらない。



Strainer オイルパンの中にあるオイルストレーナ。ATFを抜本的に入れ替えるのであれば、オイルパンの脱着及びストレーナの交換をお薦めする。

状態はわかりにくいかもしれないが......

4.作業の様子

タイミングベルトの脱着・ウォータポンプの交換

Engin Room 1
 いつものボンネットの中のように見えるが、タイミングベルトがない(笑)。◯で囲った部分にウォータポンプがある。
Engin Room 2
 ちょっと拡大。
Engin Room 3
 今度は下から。ウォータポンプはこの位置。

ATのオイルパン・ガスケットとオイルストレーナの交換

AT Oil Pan
 オイルパンの中にごそごそと、配線・配管がされている(驚)。


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